草の根市民基金・ぐらん

「草の根市民基金・ぐらん」は、多様な市民活動を支援する、
すべてのプロセスが「市民参加型」の基金です。

寄付のお願い ぐらんについて 助成先団体一覧 助成先団体レポート 選考会・交流会の様子 助成を希望されるみなさんへ
日本でも類を見ない―「市民の、市民による、市民のための」助成システム―
ホーム > ぐらんについて > 私はぐらんを応援します

ぐらんの特徴
私はぐらんを応援します
運営スタッフ
事務局について
決算報告
ニュースレター
メディア紹介
書籍のご案内

寄付のお願い

 

ぐらんについて

私はぐらんを応援します

草の根市民基金・ぐらんの活動を支援してくださる方からのメッセージです。

>> 第2回へ

第1回
パブリックリソースセンター事務局長 岸本幸子氏

プロフィール
岸本幸子 岸本幸子
パブリックリソースセンター事務局長

東京大学教養学部卒。民間研究所勤務を経て、Milano Graduate School(米国New School for Social Research)非営利マネジメント修士課程終了。
米国の資金仲介組織での勤務経験を活かし、2000 年に「社会変革のための経営資源=パブリックリソース」の開発をめざすシンクタンク、パブリックリソースセンター http://www.public.or.jp)の創設に参画。NPOのマネジメント支援や寄付・融資システムの開発、SRI(社会的責任投資)のための企業の社会的責任評価などに取り組んでいる。

 「草の根市民基金・ぐらん」は、その社会的役割や「市民ファンド」というユニークな運営形態などについて、多くの方々から高い評価をいただいています。このコーナーでは、「ぐらん」に共感し、応援してくださる、その道の専門家、識者の方々にお話を伺います。第1回は、「ぐらん」も登録している、オンライン寄付サイト・「ガンバNPO」の運営にも関わっておられる、パブリックリソースセンターの岸本幸子氏に、「市民ファンドってなに?」「寄付ってどういうこと?」という基本的なところからお話いただきました。

― 「草の根市民基金・ぐらん」は「市民ファンド」の代表的なものだと言われています。そんな「市民ファンド」の役割、社会的な重要性について教えてください。

 「子どもが生まれる」、「結婚する」、「就職する」・・・など、人生の中では、いろいろなライフイベントがあって、その過程で、さまざまな喜びや悲しみがありますよね。また、環境問題や、食の安全、学校教育、交通安全、介護などお年寄りの問題・・・と、社会の問題に出会うこと、気付くことがたくさんあります。
社会問題とのつながりって、特に子どもを育てているときに、顕著に気付くんです。たとえば、「うちの子がアトピーになった」という状況になれば、「なぜアトピーができたんだろう?」「何がいけないのか?食べ物?空気?化学物質?」という風に、自分ではどうしようもないところで起きている問題が、自分の生活に深く関わっていることに気付くんですね。
そうなったとき、人はいろいろな行動を起こします。たとえば自分の子どもが抱えているアトピーのことについて活動している団体の勉強会に行ったり、食の安全を考えて毎日の食事をつくるようになったりします。
行動については、そのように個人でできる範囲のものもある一方、それだけでは足りないこと、つまり何か社会的な活動を起こさなくてはならない類の事柄もありますよね。そこで、時間のある人は社会的な活動に参加することができます。ただ、そうではない人はどうするのか。たとえば、「役立つことをしてくれてありがとう」との思いを込めて、アトピーについての活動をしている団体を応援したり、食の安全のために一所懸命無農薬の野菜をつくっている人を応援したりするために、「寄付をする」という活動の選択肢が出てくるでしょう。寄付を通じて、自分の共感を表現するとか、抱えている問題を解決しようとするわけです。

― しかし、ある団体を支援したいからお金を出そうと思ったとき、あるいは、ある社会的問題を解決したいからお金を使って応援したいと思っても、その方法がなかなか見つけにくい、という問題があります。

そうですね。それを象徴するこんな話があります。私の知り合いで大変NPO活動に詳しい方がいて、お父さんを癌で亡くされた経緯から、お香典を使って、がん患者をサポートしている団体を応援したいと考えたんです。彼はNPOに詳しいし、実は財団の職員なのでお金を助成することについてのプロなんです。ところが、実際に探しはじめてみると、自分のお父さんのお香典を差し上げるべき先を見つけることができなかった。プロでもできないのですから、一般の方ではなおさら難しいですよね。
 私も昨年、2人目の子どもが成人したときに、ふとモーレツに「『岸本ファミリー基金』をつくりたい!」って思ったことがあるんです。私は子どもが成人まで育ったことに対して、世間様に感謝の意を表現したいと強く感じて、しかも、それを私ひとりで言うのではなく、親類一同に声をかけて200万円くらい集めてやりたいと考えたんです。子どもがまっすぐに成長してくれるまでには、たくさんの方々にお世話になりました。そのお返しをしたいという思いが、ふくらんだのですね。ただ、このことは2、3ヶ月くらいモーレツに思っていたのですが、私が基金を運営するのは一個人としては無理がある。だから、どこかに預けたい。どこかに預けることで「この思いを聞いてほしい」、と考えたのですが・・・、今はないんですよね、そういう方法が。
つまり、市民ファンドというのは、ひとりひとりがそれぞれの気持ちを表したいと思ったときに、団体を探す手間を代わりに請け負ってくれるもの。その際、喜びや悲しみを寄付という形で表現したお金をしっかりと受け止めてくれる・・・、そんなお金の受け皿の役割を果たすものであってほしいと考えています。

― 「草の根市民基金・ぐらん」についての率直な印象は?また、今後、「ぐらん」に期待することはありますか?

 「草の根市民基金・ぐらん」は、これまで長年の間、どちらかと言えば「世の中を変えたい」という多くの人たちの思いを引き受けてきました。「世の中を変えたい」という寄付者の思いと、実際に活動している人たちが手を結んで、連帯できる仕組みをつくり支えてきたことが素晴らしいという印象で、共感する部分です。
これからも、やはり人生の喜びや悲しみ、共感といったものを受け止める、まさに「草の根基金」であってほしいです。「連帯」「つながり」の視点を持って、寄付者の思いを受け止めて活動をしている人たちにつないで行く・・・。「中間支援」「インディミディアリー」の先駆的なひとつになってほしいと期待しています。
 これからは、「思いを込めてお金を出す」という行為が拡がる気がしているんです。きわめてマーケット的に言えば、今後、団塊の世代の方々が定年をむかえ、自分の仕事を一段落させて、まさに「第2のスタート」をむかえるわけですよね。そのときに多分、かなりの関心が社会的な問題に向かうでしょうし、団塊の世代が持つ情報や、経験に裏打ちされた金銭的な余裕が、「連帯」を寄付で表そうという動きにつながっていくのではないかと期待しています。
そのときに市民ファンドは、彼らの思いを誠実に受け止める組織としてさらに必要とされるのではないでしょうか。

― 社会的問題にコミットしたいと思ってはいるけれど、そうは言ってもなかなか一歩を踏み出せない、まずどのように関わっていいかが分からない方へのアドバイスを。

 男の人は・・・、まず「奥さんと話す」、「自分で食事をつくる」。子どもを育てている世代であれば「PTAの会合に出席する」。そうすると、会社の中や、新聞の中では見ることができない、「生きていく上での課題」というか、生活の課題っていうのが見えてきます。生活の課題に直面している女の人だったら、地域で行われている小さなミーティングとかいろいろなところに会合に行ってお話を聞いてみるというのもひとつだと思います。
 そして、小さな寄付をしてみるというのは一歩になると思います。小額でもお金を出すと、面白いことに「オーナーシップ」というのが生まれてくるんですよ。口を出したくなって、一歩踏み出せないどころか、「私の100円、どこへ行ったの!?」なんていう、大変厳しいオーナーに容易く変身するなんてことがよくあるので、自分の応援したい団体にちょっとの寄付をしてみるのは面白いのではないでしょうか。
 私たちは、「ガンバNPOドットネット」というオンライン寄付サイトを運営しています。約60団体100プロジェクトが登録されていて、ラインナップを見るだけでも、今、起きている社会的な問題をつかむことができます。一口千円から24時間365日いつでも寄付ができて、メールアドレスを団体側に開示してよければ、寄付をした団体側からニュースレターで最近の活動の状況やお知らせが届くようになります。
社会的問題にコミットするライフスタイルづくりの第一歩になると思います。ぜひ気軽にサイトを見ていただきたいと思います。

― 最後に、「社会的問題にコミットする」というライフスタイルづくりについて、一言お願いします。

 アメリカ人にとって「寄付をする」という行為は、意思表明、自己表現を意味するものなんですね。それに対して、日本人は「お互い様」というか、頭を下げ合う感覚の寄付というか、「お付き合いの寄付」という感じが、今まで多かったのかなと感じています。寄付という行為は、人の温かさを実感するというか、自分を肯定すると同時に、その自分が誰かによって支えられているということを実感する行為ではないかと思っています。寄付を「普通」のことにしたいですね。若い人にとっては、大人になったら寄付をしよう、就職したら寄付をしよう、儲けたら寄付をしようというようなライフスタイル。中高年にとっては、人生の重み、軌跡を表すライフスタイル。ライフステージごとに、個人が生きていくことと社会との架け橋にガンバも市民ファンドもなれると思っています。

 

    ページトップへ
Copyright (C) 2012 Citizen's Fund Grand All rights reserved.