草の根市民基金・ぐらん

「草の根市民基金・ぐらん」は、多様な市民活動を支援する、
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 ― 第1回

 

ぐらんについて

私はぐらんを応援します

第2回
NPO法人トラウマ・サバイバーズ・ユニオン 柳下明子氏・嶺脇広二氏

プロフィール
柳下明子氏・嶺脇広二氏 NPO法人トラウマ・サバイバーズ・ユニオン (以下、JUST)
JUSTは、児童虐待・性暴力・DV・学校や職場内いじめ・ひきこもりなど、かつての様々な暴力や虐待から受けたトラウマ(心の傷)を生き延びてきた生存者(サバイバー)自らが運営する、セルフヘルプの団体です。家族関係、人間関係の中で現在も苦しんでいる方々へ、同じ傷を持っている仲間として対等な立場でエンパワーをし、安全な場所の提供や支援活動をしています。

JUSTへの助成は、その自助グル―プとしての性質から「団体活動への支援」よりも「個々人への支援」という側面が強いという、他にあまり見られない事例でした。今回はJUSTの柳下明子さんと嶺脇広二さんから、個人的体験としての「ぐらん」のお話と、応援メッセージをいただきました。

〜 「ぐらん」は、私にとってグラミン銀行的な役をかってくださったのだと思います 〜

― 助成金を申請した当時のことを教えてください

JUST 柳下明子氏 嶺脇広二 助成をいただいた2004年当時のJUSTでは、DVなどで地方から東京へ逃げてきた人や児童虐待の問題を抱えている人など、子どもを持つ、厳しい状況にある女性への支援活動が主要テーマの一つでした。そして彼女たちの多くは、生活保護を受けているなどして、経済的にも厳しい状況に置かれていました。
 JUSTでは年に1回ほどサマーセミナーとしてキャンプを行っていたのですが、貧困のために費用を支払うことができず、いつも事務所で留守番せざるを得ない人も多かったのです。また、シェルター兼セラピーのために集まる場所は事務所の一角で、椅子や机なども揃ってはいませんでした。
 そこで、今まで家族旅行もしたことがなかった母子にキャンプへ参加してもらい、また集う場となっていた事務所の一角に基本的な備品を揃えたいと思って、「ぐらん」へ助成金の申請をしました。
 助成の選考は、多くの皆さんの前でアピールする「公開選考会」で行われたので、はじめて助成金の申請をした私たちにとっては、「自分たち以外にどんな人たちが来るんだろう」と、とても不安でしたが、幸運なことに助成をいただくことができました。その時は、何か「社会に参加した」気持ちがしましたね。

― 助成金はどのように使いましたか

助成金は、4つのことに使いました。
 1つめは、サマーセミナーへの参加費です。私(柳下さん)も含めて、初めて家族で旅行ができた母子家庭が5世帯もありました。子どもたちにとっても、一生の思い出になったと思います。参加した家族の皆さんが、帰り際に「こんなに楽しい体験は初めてだった」と、なかなか解散できなかったことを思い出します。
 2つめは、多くの人に活動を伝えるためのウエッブサイトのリニューアルです。これについても、嶺脇が中心になってとても良いものをつくることができました。
 3つめは、引っ越しと備品の購入です。JUSTはシェルター機能も持っていたので、以前に倉庫として使われていた格安で少し広い部屋へ引っ越し、簡単な備品を揃えることで皆が集まりやすくなりました。
 最後が、石垣島のアディクション問題への参加です。これは石垣島であまり表面に現れていなかったアルコール問題とそれによるDV問題に対して、「同様の立場でもあるJUSTの誰かに実際に島に来てもらい、専門家だけではない視点からのアドバイスが欲しい」と求められたことから始まりました。当初の助成目的と違ったので、「ぐらん」に問い合わせたところ「それが目標の延長線上にあるのなら、助成金を使うことに問題はありません」と言っていただき、私(柳下さん)がJUSTを代表して行くことができました。この体験は、その後の私の人生を大きく変えることになりました。

 島の外から来た、同様の経験をしたことのある女性がともに問題を考えるということが、島の皆さんにとっても私にとっても、とても良い結果をもたらしたのです。南の島は初めてだったのですが、それから石垣島へは毎年行っていますし、家族同然のお付き合いをしている友人も何人かできました。例えば、当時案内をしてくれた方がDVの被害を受けていたことを後で聞きました。何回も会う中で、その方は後に離婚して今ではセラピストとして活躍しています。この活動には、私も協力しています。
 その後、「南の島のエネルギーで心と体が癒せるから、一緒に行こう」と私だけではなく同様の体験をしてきたJUSTの仲間と島に行く機会もありました。その方たちからも、とても良い経験になったと聞いています。

― 50万円という助成金額はどうでしたか

 金額は適正だったと思います。その当時は女性のシェルター機能を強化したかったので、事務所の引っ越しを考えていました。もしも、もっと多くの金額をいただいていたら、単なるハコものに使っていたかもしれません。ミッションから外れないことを条件に、必要に応じてかなり自由に使わせていただいたので、50万円は殆んど人と人との関係性に使いました。今から考えると、生きたお金として使うにはちょうど良い金額だったと思います。

― 交流会への参加はどうでしたか

 助成金をいただいた後、2年間交流会に参加させていただきました。その後も私個人(嶺脇さん)として出席をしていますから、毎年のように参加していますね。私が趣味で作っていたビーズを交流会の賞品で使ってもらったことがあるのですが、そこから交流会に参加していた障がい児・者のために布おもちゃを作る「TOY工房どんぐり」と一緒の企画を行ったり、生活クラブ生協の組合員の方へのビーズ講習会を行ったりするなど、個人的な広がりもありました。その他にも、本職であるHP製作でNPOやNGOにお手伝いするなど、いろいろな展開へのきっかけになりました。

― 最後に「ぐらん」へのメッセージをお願いします

柳下さん; その当時、社会の中で閉ざされていた私たちにとって、「ぐらん」は別の社会を見ていくためのきっかけになりました。世の中には様々な人がいることを知ると同時に、社会は怖いだけの場所ではなく、やさしい場所でもあり、「人は温かい」という安心感をもつこともできました。私にとっては、グラミン銀行的な役をかってくださったのだと思います。皆さま、どうもありがとうございました。

嶺脇さん; 人と人との交流が、手作りで行われている良さを感じています。そのつながりが心地よく、知り合った皆さんとずっとお付き合いさせていただいています。このような取組みは「ぐらん」だけなのかもしれませんが、日本に同様の仕組みがもっとあれば良いですね。また、私がビーズ作りなどでいただいたお金から、少額でもこれから「ぐらん」へ寄付できるようになっていきたいと思っています。

事務局コメント
 柳下さんは、いま「依存症問題」を社会にアピールし解決するための「リカバリー・ウォーク」というイベントの準備を仲間と進めています。個人的な課題から、それを社会的な課題として自分も含む多くの人たちの状況を良くしようとする取組みです。また、嶺脇さんは、多くのNPOにHPの作成支援という形で協力しています。
 個人的に極めてヘビーな状況にあったお二人が、それを超えて社会的なスタンスに立った活動へ踏み出すきっかけの一つに「ぐらん」の助成があったことは、「ぐらん」にかかわる皆さんにとっての、何よりの応援メッセージになったのではないでしょうか。

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