2019年度アジア草の根助成、NPO法人Stand with Syria Japanの活動報告を紹介します!
この度は、弊団体のシリア危機アドボカシー事業実現のためご寄付を頂き、誠にありがとうございます。皆様からのご支援なしでは、10年目に差しかかろうとしているシリア危機の中で今も苦しみ続けるシリア市民の声を日本・世界に届け続けることは不可能であり、この場をお借りして深謝致します。
弊団体はシリア危機を生きる最も抑圧された人びとの目線に立ち、彼らとともに立ち上がることを目的としています。活動内容としては「アドボカシー事業」、「シリア危機支援事業(人道・人権支援)」を主軸としています。皆様にご支援いただき実施しております本プロジェクトは「アドボカシー事業」を通し、シリア紛争下で発生する甚大な人権侵害、特に強制失踪・拷問問題等に焦点を当てています。
本年度のアドボカシー事業としては、コロナ禍に対応する形でオンラインでのセミナーや講座を開催して来ました。
春から夏にかけては、メディアに取り上げられることのないシリア国内でのあらゆる事実を日本社会と世界へ発信するため、シリア国内で活動するジャーナリストとの協力体制のもと、彼らの残した記録の動画制作・オンライン公開を行いました。(https://youtube.com/playlist?list=PL-uSM4BxWhpURub9xLF_8Yl12wR0DhECO)こうした記録を残す活動は、現在進行形で続く残虐行為への抑止力に繋がることはもちろん、紛争終結後の「移行期正義」においても平和を築き上げるために重要な証拠となります。
5月にはセミナー「シリア:今世紀最悪の人道危機のいま」を開催し、当日は定員を超える100名以上の方々にご参加いただきました。熾烈を極めるシリア北西部からの現地スタッフムハンマドの報告は「何度支援をしても空爆で振り出しに戻され、建設的な自立支援が行えない」という人道支援の本質的限界を提起しました。一方で「八方塞がりな中、SSJの支援は各家庭に密着し、信頼とコミュニケーションの上に成り立っており、確実な前進を見せており、希望を与える」と語りました。ムハンマドは「どうか虐げられている人々の側に立って下さい、小さな支援でも未来に繋がる」と日本の人々に向けメッセージを送りました。
12月には連続講座「シリアにおける秘密刑務所と拘束、拷問、失踪、そして処刑」を開催しております。講座では、シリアで発生する重大な人権侵害「強制失踪」と「拷問」に焦点を当て、この恐ろしい実態を専門家や実際のサバイバーが解説します。
12月19日連続講座第1回目では、弊団体代表であり東京大学学院博士課程にてこの問題を専門として研究・活動をしている山田一竹により、シリアにおける強制失踪と収容所、そこで市民が経験する拷問や処刑の全貌の解説を行いました。また第二幕として、家族を強制失踪で奪われた、SSJが支援する家庭の生活状況や精神的苦痛の報告をイドリブのSSJ現地スタッフより受け、この問題の理解を深めました。
今後もシリア危機の中での正義の回復のための政策提言準備を継続していくとともに、オンライン等にて複数イベントを開催予定ですので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。