2018年度アジア草の根助成、NPO法人ホープフル・タッチから活動報告を紹介します!
2018年度アジア草の根助成、NPO法人ホープフル・タッチから活動報告が届きました。中学校さえなかったカンボジアの水上コミュニティで、初めて中学校の卒業生が誕生。陸上で高校、大学への進学を進めるため、不安でいっぱいの生徒と保護者を優しく導くホープフル・タッチの活動に、ぐらんが力添えできたことを、大変うれしく思います。草の根で活動される皆様の笑顔を、ぐらんは応援しています。
これまで、高等教育を受ける子どもがいなかったカンボジア・コンポンチュナン州の水上コミュニティ。
私達が活動している水上コミュニティでは、今年初めて中学校の卒業生が誕生します。
この水上コミュニティには高等学校がなく、進学するには陸地にある学校へ行かなければなりません。中学校ですらできたばかりで初めての卒業生を迎えるこの場所において、高校への進学は簡単なことではありません。子ども達は家族を離れて陸地にある寮や寺院で生活しなければならず、周りに先輩がいないため、子どもにとっても保護者にとっても、不安はいっぱいです。
進学したらなにが起こるのか不安な生徒も、本当に子どもを進学させる意味があるのか疑問に思う保護者もいます。進学についての最終的な選択は、子どもそれぞれの意思や家庭それぞれの事情によりますが、平等に教育を受ける機会や選択肢を増やしていくことはできます。
一方で、水上コミュニティが生活のすべてであった子どもや保護者にとって、高校や大学へ進学するイメージは未だ想像しにくく、モチベーションも上がりにくいという課題がありました。
モチベーションについては、他県から派遣され、学校に住み込みで教師として働いている先生達にとっても課題でした。せっかく小学校や中学校で熱心に教えていても、その後も勉強を続けようという子どもの意欲を向上することに苦戦していたり、教育の重要性に対する保護者の理解を深めることに手が回らなかったりと、先生自身のモチベーションを維持することにも難しさがありました。
中学校卒業を目前とした生徒や保護者、先生方が改めて自分達、そして水上コミュニティにおける教育の将来について考えるきっかけとなるよう、首都プノンペンでのワークショップとトレーニングを実施しました。この機会に合わせ、プノンペンにおける社会見学も実施しました。今回参加した生徒も保護者の方々もみな、水上コミュニティを出てプノンペンに訪問すること自体が初めての体験でした。
ワークショップでは、パートナー団体「New Hope for Children in Floating Community (NHCFC)」が生まれたパンナサストラ大学へ生徒、保護者、教師を招聘し、大学の見学、大学生との交流、大学で学ぶ教育に関する教授からの説明を受けました。学長からは、教育に根ざした“人間としてのモラル価値”について講義を受けました。
トレーニングでは、同じくパンナサストラ大学にて教授や学生とともに、先生方が教育におけるモチベーション維持について考えました。
参加した生徒、保護者、先生方から様々なコメントが寄せられました。
<生徒の声>
「今回の大学訪問の機会や、メンタル面でサポートをしてくださっているみなさまに、とても感謝しています。パンナサストラ大学を訪問したり、プノンペンの歴史的な場所を知ることができて感動しています。プノンペンの街や大学を自分の目で見ることは夢でした。やっと、大学がどんなところなのか知ることができました。自分も大学で勉強したいです。」
「学生の方々が大学で勉強しているのをみて、とてもかっこいいと思いました。まだ中学生ですが、いつかあの人達と同じように、ああいう教室に座って授業を受けたいです。大学の図書館はとっても広くて、たくさんの本がありました。でもほとんどの本が英語で、自分には読めないので悲しくなりました。私も英語を勉強して、英語を話せるようになって、学生の方々のようになりたいです。」
「私達の中学校には中学生が11人いて、一生懸命勉強して進学テストを受けます。高校に進学して、大学に進学したいです。パンナサストラ大学で勉強したいです。」
<保護者の声>
「私達の人生のなかで、街を見るのは初めてでした。大学というものが、こんなに素晴らしいものだとは思いませんでした。自分達の子どもも、大学に進学させたいです。子ども達には、自分と同じように自然と漁業だけに頼る生活を送らせたくありません。子ども達には、よりよい暮らしをさせてあげたいです。」
<先生の声>
「生徒達のワークショップへの参加は、教育へのモチベーションについて学んだり、大学進学が自分達によりよい生活を与えてくれることを知るきっかけになりました。この機会により、子ども達が勉強に対してより積極的になったのを強く感じます。進学テストを控えている子ども達のために、補習授業を実施していきます。」
今回のプノンペンでのワークショップ・トレーニングは、参加者の方々それぞれの立場で新鮮に感じたことがたくさんあったようです。
生徒達は将来の先輩の姿をみて刺激を受け、目指す姿のイメージができたようでした。これから進学テストに向けて勉強し、高校へ進学していく姿は、彼ら/彼女らの後輩達のモデルになっていくかもしれません。
これからも引き続き、プノンペンや水上コミュニティでのイベント、ワークショップ、トレーニングを実施していきます。
ホープフル・タッチは、アジアの子ども達のため、様々な活動をしていらっしゃいます。
ホープフル・タッチのHPはこちら。
ぐらんはこれからも、ホープフル・タッチの活動を応援していきます。