2019年度都内草の根助成、 LGBTハウジングファーストを考える会・東京の活動報告を紹介します!
LGBTハウジングファーストを考える会・東京では、貧困を理由に住まいを失ったセクシュアル・マイノリティ(LGBT)当事者への居住サポートを行っています。新型コロナウイルスの収束が見えないこの時期、皆さまからいただいた貴重なご支援に、心より感謝申し上げます。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの総称)という言葉は近年、一般にも浸透しつつありますが、それでも性的なものにまつわるスティグマなどから、当事者の多くは、家庭や職場、学校などの日常生活でカミングアウトせずに暮らしてます。相談支援の現場でも、自らSOSを出すことが苦手なケースが少なくありません。複数の要因が重なったり、問題が複雑化した状態でようやく支援機関につながる(しかも、周囲の人が見かねて相談してくる)こともあります。
生活困窮者が利用できる更生施設や民間の無料低額宿泊所は、必ずしもプライバシーが十分に守られた住環境が用意されているとは限りません。たとえば、同性からのいじめや暴力を受けた経験のあるゲイやバイセクシュアルの男性が、さらなる嫌がらせを受けたり、心理的な負担を抱えることがあります。また、トランスジェンダー当事者の場合には、本人が望むのとは異なる性別でシェルター入所を余儀なくされることもあります。
安心できる住環境で自分を取り戻し、生活をたてなおすための個室シェルターを開設しようと、相談支援に携わってきた専門職の有志、生活困窮者支援団体、LGBT関連団体が連携し、2017年に当会の活動が始まりました。公的な補助がない状態で有志からの寄付等を募り、2018年末に東京都内でワンルームアパートを1部屋確保し、「LGBT支援ハウス」を開設しました。2020年10月までに、5名の方が支援ハウスを利用し、次のステップにつながっているほか、それを上回る相談や入居への問い合わせが寄せられています。その中には、精神疾患、依存症、HIVなどの課題を抱えているケースが多く、住居を提供するだけにとどまらず、必要に応じて医療や保健福祉サービスなどの関係機関との連携が求められています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、職を失ったり、収入が急減するなどの影響が出ています。当会では今年5月、LGBT当事者を対象とした仕事と住まいに関する緊急アンケートを実施しました(https://lgbthf.tokyo/2020/07/02/386/) 。調査結果からは、飲食業などのダブルワークでギリギリ生活を維持していた人が、本業のみならず、副業がなくなることで生計の維持が困難に陥るなど、自助努力で覆い隠されていた貧困があらわになりつつある現状も見えてきました。
それを受けて、新たに2部屋のシェルターを増設することに決め、現在、物件探しを行っています。これまで1部屋しかなかったため、入居への問い合わせがあっても待機状態が続いていたのですが、より多くの方を受け入れ、生活困窮の解消を進めていくことができます。
草の根市民基金ぐらんをとおしていただいた皆さまからの寄付は、専門性をもつスタッフの配置など、シェルターを運営するための資金に充てたいと考えております。今後とも引き続き、よろしくお願いいたします。