2018年度助成団体を紹介します【都内:一般社団法人東京TSネット】
皆様の寄付により2018年度草の根助成団体に選ばれた団体を紹介しています。
今回は、福祉専門職,弁護士,医師などが集まって地域でトラブルに巻き込まれた障がいのある方を支援する「一般社団法人東京TSネット」です。
【私たちについて】
私たち東京TSネットは、地域でトラブルに巻き込まれた障がいのある方を支援するために福祉専門職,弁護士,医師等が集まって2013年5月に任意団体としてスタートしました。2015年4月からは、一般社団法人東京TSネットとして活動しています。
私たちは、障がいの有無にかかわりなくすべての人が地域で暮らせる『共生社会』の実現を目指しています。
その趣旨に賛同する方であれば、専門資格の有無を問わず,誰でも参加することができます。そのため。メンバーは多種多様で、現在、メーリングリストには、精神科医,研究者,障害のある子を持つ親,特別支援学校の教諭,グループホーム経営者,就労移行支援事業所の職員,特例子会社の職員,障害者就労支援センターの職員,弁護士など約300名の方に参加していただいています。
【更生支援コーディネート】
この度、草の根市民基金・ぐらんからの支援をいただき、より一層幅広い支援、質の高い支援を行うべく①更正支援コーディネートと
②連続セミナー、事例検討会(啓発活動・教育)を開催します。
私たちが活動の柱としているのは、福祉的な支援が必要と思われる被疑者・被告人、すなわち、罪を犯した側の障害者に対する個別ケースの支援です。
彼ら/彼女らの多くは、障害がゆえの生きづらさに加えて、ともすれば犯罪者というレッテルを貼られ、「障害者」「犯罪者」という二重のスティグマを背負う、最も弱い立場に立たされています。
また、犯罪に至ってしまった背景には、障害特性、障害ゆえの生きづらさ・生活上の困難等(例えば、行動の結果を見通す力の弱さ、社会資源につながる力の弱さ、いじめや虐待の体験等自己肯定感やレジリエンスの低下に繋がる経験、貧困の問題、社会参加の機会が少ないこと等)があり、それらが間接的に犯行に影響を与えていることが多く、彼ら/彼女らは、その事件の加害者であると同時にかつては被害者だということも多いのが実情です。
私たちは、単に、犯罪という結果ではなく、その原因となる生物的要因、心理的要因、社会的要因を分析し、その困難に焦点を当てて支援を行い、クライエントがよりよい生活を送ることを通じて、結果的に再犯防止を図る、そのことに価値を見いだしています。私たちは、社会から指弾されがちな「罪を犯した」障害者を、こだわりを持って支援しています。
そのような支援を、具体化するのが、更生支援コーディネートです。
これは、東京TSネットの更生支援コーディネーターが、警察署、拘置所等に赴いて、被疑者・被告人となった本人に面会し、福祉的支援の必要性や今後考えられる具体的支援について、アドバイスするというものです。
そして、面会を重ね、本人の意向を聞き、関係機関等と調整のうえ、事案に応じて更生支援計画書を作成したり、証人とし裁判に出廷すること等を行います。
また、裁判終了後、地域の支援者や関係機関への橋渡しをしたり、実刑になってしまったケースでは、刑務所への面会や手紙のやり取りを通じて、シームレスな支援を展開していきます。
東京TSネットでは、更生支援コーディネートにおいて、多角的な視点で支援内容を検討するため、月に1回、支援検討委員会を開催しています。これは、精神科医や臨床心理士等障害者の支援に関わる各分野で専門的知見をお持ちの方々を委員としてお招きし、新たに依頼を受けた事件の支援方針を協議したり、更生支援コーディネーターの作成する更生支援計画の内容を検討するなどするものです。更生支援コーディネーターは、支援検討委員の方々からの意見をも参考にして、よりよい支援を実現していきます。
【連続セミナー・事例検討会の開催】
東京TSネットでは、現在、各年4回の連続セミナーと事例検討会を行っています。
連続セミナーは、外部講師を招いて、最先端の現場や隣接する分野での取り組みや工夫、支援に関する理論的な注意点や論点を学ぶもので、参加者との質疑応答や議論、感想のシェア等もしています。
2019年度は、「生きづらさを抱えた人を支える」をテーマに連続セミナーを開催します。
事例検討会は、刑事事件に限定せず、参加者の方が支援の上で抱えている悩みや困りごとを取扱います。参加者に守秘義務を負うことを誓約してもらったうえで意見交換するもので、様々な立場の参加者がいますので、異なった立場、専門性、感性からの指摘やアドバイスがあり、毎回新しい発見があります。
【その他の活動】
また、東京TSネットでは、申込みに応じて開催する出前講座を随時募集しています。これは、東京TSネットに所属する弁護士・社会福祉士等が、申込者の職場や学校、サークル等のグループに出向いて、障がいがある人の権利擁護に関する講座を行うものです。これまで、市役所等の公的機関や、福祉作業所といった職場の研修、親の会・特別支援学校のPTAや地域のサークルの勉強会などにおいて、幅広くご利用いただいております。テーマも、触法関係から、虐待防止、差別解消法、成年後見、消費者被害等、幅広いものに亘っています。会場と、参加者の募集を担当していただければ、10名程度の規模から開催可能です。ホームページに申込みフォームがあります。
その他、東京TSネットでは、これまで、事例集の作成、更生支援計画に関する書籍の出版、関係機関の視察、地域型TSネットの立ち上げ・運営支援、ホームページやFBによる情報発信、関連する学会での研究報告などを行ってきました。
セミナー、事例検討会等の最新情報は、ホームページ、FBページで発信していきますので、興味があるテーマ、困りごとを相談したいという場合は、是非、ご参加ください。
https://www.facebook.com/tokyo.ts.net/
興味をお持ちいただいた方は、是非、活動に参加いただき、一緒に、共生社会を実現していきましょう!
よろしくお願いいたします。