草の根市民基金・ぐらん

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在日外国人の自立をめざした相談活動に従事する相談員及び通訳者の育成

団体名 特定非営利活動法人 ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)
助成金額 2011年度 / 43万2,000円
団体概要

 APFSは「かわいそうな外国人」を日本人が一方的に助けるのではなく、互いに助け合いながら生きる社会を築くことを目的に、板橋区を拠点にして1987年から25年に及ぶ活動を続けている。
 主な活動として、外国人住民に対してビザ(在留資格)や生活(結婚・離婚、教育、医療、税金、交通事故、その他トラブル)に関する相談を受け付けている。そこには毎年1,000件ほどの相談があるという。情報の提供だけではなく、相談者と共に問題の解決を目指す「解決型相談」を目指していることが特徴となっている。
 また、非正規滞在外国人が抱える問題、東京都板橋区内の外国人の生活状況、海外の外国人支援団体の現状などを調査するとともに、そこから見えてきた問題を提言してきた。同時に、地域での多文化共生を目的にアジア各国の料理や文化を地域に紹介する「あなたの知らないアジアフェア」を定期的に行っている。
 その中で、ぐらんの助成は、「在日外国人の自立をめざした相談活動に従事する相談員及び通訳者の育成」を対象に行われた。

助成事業

 本事業では、相談員及び通訳者を系統的かつ効率的に育成することを目指した。育成の対象となる相談員及び通訳者には、日本人・外国人両方を含む。
 相談員及び通訳者育成のための講座(育成講座)や他団体との経験共有講座などの事業を行い、相談員及び通訳者を育成することで、将来、新たな相談員及び通訳者と共により多くの在日外国人の救済を出来ることを目指した。事業の最後には、6回の育成講座の内容を元にした「解決型相談マニュアル集」を作成した。

実施内容

・以下、活動スケジュールのとおり、6回の育成講座を実施。
外国人参加者にも分かりやすいよう、出来るだけ平易な言葉で説明をいただくよう講師には依頼。質疑応答の時間を必ず設け,自身の経験と学んだ知識が結びつけられるようにした。

・2日間の集中会議
 相談の現場から一度離れ、相談を捉え直すことを目的に宿泊を伴う会議を実施した。

・経験共有講座の実施
 自団体だけでなく、他団体が培ってきた経験を共有することを目的に実施した。

・解決型相談マニュアルの編集作成
 育成講座の内容を文字化することで、事業終了後も、相談員・通訳者が系統的・効率的に相談に必要な知識を取得できるように、「解決型相談マニュアル」を作成した。

<具体的な活動内容>
●2012年6月:育成講座第1回 「入管法の実務入門(講師:廣瀬直樹/申請取次行政書士)
●2012年7月:育成講座第2回 「外国人のための社会保障制度入門(講師:南野奈津子/貞静学園短期大学専任講師)」
●2012年8月:育成講座第3回 「外国人のための労働相談入門(講師:背黒宏文/労働者学習センター)
●2012年9月:育成講座第4回 「外国人のための医療福祉入門(講師:大脇甲哉/港町診療所医師)
●2012年10月:育成講座第5回 「外国人と税金(講師:汪興旺・鈴木俊哉/税理士法人山崎会計事務所)
●2012年11月:育成講座第6回 「外国につながる子どもたちの教育(講師:竹川真理子/信愛塾)
●2013年1月:相談員及び通訳者を対象とした2日間集中会議(河口湖において実施)
●2013年3月:経験共有講座の実施、相談員及び通訳者の修了式、解決型相談マニュアルの編集・作成

成果と課題

特定非営利活動法人 ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS) <助成金によって得られた成果>
 当団体では、従来、相談を受けるための体系立った研修カリキュラムは存在していなかった。現在の相談員は、先輩相談員を見よう見まねで相談に必要な知識・スキルを身につけてきた。自ら手探りで学ぶことで得られるものも多いが、体系的に学べば、もっと効率的に(早く)知識を得ることが出来たかもしれないのも事実であった。
 今回、助成を得たことで、体系立てたカリキュラムに基づき、相談員・通訳者を新たに作成することが可能となった。今回の育成講座を受講した相談員・通訳者は効率的に相談に必要な知識を得られた。育成講座終了後、2名、相談を新たに担当できそうな相談員候補が誕生している。
 育成講座の内容は、文字化され、「解決型相談マニュアル」として発行することができた。講座をやりっ放しにせず、内容を文字化することで、講座後に団体に入ってきたボランティアにも講座の内容を共有することが可能となる。これは長きにわたり、相談員・通訳者の効率的な育成に寄与する。
 2日間集中会議は、相談員・通訳者が日頃の相談で悩んでいること、解決案を相互に本音で語れる機会となった。本来であれば、日常的にケース会議等を行うことが望ましいのであるが,財源が乏しいために、当団体の相談員が曜日交代で勤務をしていたり、常に相談対応に追われている状態で、なかなか互いに話をすることができない現状がある。そこで、宿泊を伴う会議は、互いの本音を聞く場として大いに作用した。
 経験共有講座では、当団体とは違う得意分野を持つ団体に集まってもらい経験を共有した。初めて知る情報が沢山あった。団体内だけでなく、団体を超えて経験を共有するのも有意義であることが分かった。

<今後の課題>
 今回の事業を通じての一番の課題は、「外国人」相談員を今後どのように育成するかである。(通訳者ではなく)相談員として、相談を担当するためには、種々の情報に日本語でアクセスをしなければならない。外国人の多くは、音声を聞いて通訳をすることは可能でも、読み書きには困難を伴う状況がある。育成講座の資料も他言語化してもらい配りたいところではあったが、それは講師の負担も大きく、ルビをふるので精一杯の状況であった。よって、講座の理解度は、日本人と外国人で異なっていたと推察される。「解決型相談マニュアル」も、助成期間内に発行をするために、言語は日本語のみとなった。しかし、在日外国人が抱える問題や、その気持ちを理解できるのは、外国人である。外国人のみを対象とした講座の実施、講座後のフォローアップ等を検討することが今後の課題として残された。
 また、せっかく知識を得ても使わないと知識は身につかないし、忘れてしまうものである。現在の相談員が意識して新たな相談員を指導するための時間を取り、彼らが育成講座で身に着けた知識を定着させる働きかけをすることが必要である。

2013年度の活動予定

・育成講座で知識を取得した相談員候補2名を相談員にすることを目指す。知識が定着するように、相談員候補の相談への同席、現場への外出同行を始めている。
・育成講座の講師(南野奈津子氏)と移民政策に関する勉強会を実施する(ネットワークの深化)

 

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