■チッタゴン丘陵問題 チッタゴン丘陵はバングラディシュ東南部、インド・ミャンマー国境付近に位置し、国土のおよそ10%を占めています。この地域には、ジュマと呼ばれる先住民族が暮らしています。1970年以降、政府によるベンガル人の入植政策の結果、軍の力を背景にした強制的な土地収奪、人種、宗教の異なる先住民への襲撃事件などの深刻な人権侵害がたびたび起こっています。1997年に政府と先住民組織の間で和平協定が結ばれるものの、ほとんど実施されることはなく、深刻な状況は放置されてきました。さらに、和平協定の内容を不満とするグループによって、先住民側の内部紛争が起こるなど、問題は複雑化しながら続いてきました。
■現地でのネットワークづくり
ぐらんの助成対象事業となったのは、、チッタゴン地域の女性たちのネットワークづくりとレイプ被害者支援のプロジェクトです。入植者や軍関係者による襲撃事では、先住民女性に対する誘拐、レイプ、殺人事件などがたびたび発生しているにもかかわらず、これらの事件の被害者には様々な問題から通常の支援活動も十分に届いていませんでした。このため、ジュマ・ネットは、現地で民族や宗教を超えて女性の側にたった活動を続ける「ドゥルバル」という全国規模の女性団体のネットワークと協力し、“女性に対する暴力と差別撤廃”活動を推進することにしました。このプロジェクトは3か年計画で、行政や警察との連携、ネットワーク作りや医療・法的な内容を含む支援体制の構築を目指しています。
■国際世論に訴える
ジュマ・ネットは現地での支援活動と平行して、チッタゴン丘陵問題の解決を国際世論に訴える平和促進活動、日本国内での広報・交流活動も進めています。2009年8月からは「和平協定実施を求める世界同時キャンペーン」として2010年3月まで署名活動を行っています。2009年12月19日(土)には、東京有楽町で、チッタゴン丘陵和平協定の実施を求める街頭アピールと署名活動を行ないました。このように、2009年にすこしづつ動きだした和平への新しい流れが途切れないよう、草の根の地道な取り組みがつづいています。
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