「国境なき子どもたち」では、アジア諸外国の恵まれない子どもたちを継続的な形で支援している。そして、そこへ日本の子どもたちが「友情のレポーター」として訪問し、日本で伝える活動も行なっている。市民が寄付をしたお金がどのように生かされているのか、アジアや世界の問題に対して今なにができるのか、同団体の活動から見えてくるものがある。
■「国境なき子どもたち」とは
「国境なき子どもたち」(KnK)は、国境なき医師団日本事務局のプログラムである「子どもレポーター(現:友情のレポーター)」から始まった。これは「国境なき医師団」が医者を中心とした緊急スポットとしての支援活動を行う中で、その活動を日本の子どもたちに伝えるために、現地にレポーターとして子どもを派遣するというものだった。
そして、日本とアジアの子どもたちとのその後のつながりをつくることや、スポットではない継続的な現地支援が必要であるとの考えから、1997年に別団体としてKnKが設立され、これまでにアジア8カ国で、20を超える支援プロジェクトを行ってきた。
■若者の家・プノンペン
カンボジアは長い内乱の時代の影響で、共同体が破壊され、ストリートチルドレンの出生登録もできていないケースが多い。貧しい子どもたちは、その中で早期の経済的自立を求められ、高等教育を受けるチャンスはほとんどない。そのような状況下では、助成プログラムである「若者の家・プノンペン」のような教育機能が、即座に発展することは難しいが、この活動があることが多くの子どもたちの希望となっている。
「若者の家」は、カンボジア北西部のバッタンバンや、ベトナムでも運営されている。このような活動は、短期で結果を出すことや、成果を数字で表すことが難しい。長期にわたる継続的な支援を行うことで結果が出る「子育て」のような性質を持っているため、助成をする側としても、ぜひ関心を持ち続けていくべきだろう。
■私たちが、日本でいまできること
同団体事務局の金さんは、日本の10代の若者などに「自分に何ができるのだろうか」と聞かれること多いと言う。そんなとき、彼女は「いろいろなことを知る努力をしてみて下さい、知ることで可能性が開けていきます」と答えるそうだ。テレビや新聞に載っていることだけが世界の全てではなく、アンテナを張っていることでさまざまな事実を知ることができる。これは、将来を担う子どもたちだけではなく、現代社会に生きる、私たち皆が意識するべきことだろう。
一般の企業は、どうしても目立つ分野や緊急支援へのサポートに偏りがちな面がある。KnKでは、ひとつの土地で継続的な活動を行うことが重要であり、また人的な交流を強く意識していることからも、企業以上に多くの市民に支えられることを求めている。
アジアの恵まれない青少年を教育面と生活面でサポートし、日本と現地の子どもたち同士の関係性を育んでいくKnKの活動は、一方通行の支援ではない、子どもを中心とした未来に向けた活動であるという点で、とても貴重なものではないだろうか。
ぐらんとしても、今後も継続した活動を続けていくことを期待している。 |